ぼくじょう日記

てらお牧場に起こる出来事を書きつらねていきます。

「里海資本論」を読む

いま、「里海資本論」(井上恭介・NHK「里海」取材班, 角川新書, 2015)を読んでいます。

瀬戸内の海と島々が主な舞台です。人と自然(海や陸地も含めた大地、植物や動物たち、気候や日光などといったものたち)の間の関係は、僕が考え、経験の範囲で知っていると思っていることよりも、もしかするとずっと深く絡み合ったものなのではないか。この絡み合いに分け入ることで、確かにこれは豊かだなと思うような現実が、そこかしこにつくり出されている。と感じさせられる本です。

このような現実の中に踏み込むことを課題としてみたいと感じました。

僕自身は一科学者、大学教員です。その目からこのことについて考えてみました。物質循環と生命の営みに関する科学的認識は、里海の現実を理解するために必要な基盤的知識かもしれません。同時に、この基盤的知識を、里海の現実の中で科学的な形で活写することが可能かどうか。こういう立場から、上記の課題を位置づけたいと思います(授業を少し変えてみたい、ということです)。

地域の気候について描写する原稿を書くような場合も、思った以上に地域の歴史や産業、自然の特質について意識する機会になります。地域を「語る」方法(ナラティブ)の一つなのかもしれません。それを「科学的に行う」とはどういうことか? ここでも同じようなことが課題になっています。

そうしていて思うのは、具体的な事実や歴史、出来事のもつ力です。物理的原理から物事を演繹的に見ようと思う立場から(自分はこの側面を意識する傾向が強い)だけでは現実をやはり効果的に捕まえることができない。ということです。必要な獲得すべき資質は、きっと地誌を書く地理学者のような、あるいは「里海資本論」を書くジャーナリストのような、記録精神かもしれません。

まだ自分は戸口に立ったところだなと感じています。

せめて日々起こる出来事や考えたことを書き留めることから・・ということで、ブログは大切ですね。

あんまり具体的なことを書くとネタバレにもなるし、あえて抽象的に、でも実感を書いてみました。